この記事では、
- 「教育学部に在籍しているが教師になるつもりはない。しかし就活の面接で『教師にならないんですか』とよく聞かれるため、良い答え方が知りたい」
- 「他の同じような境遇の人が、面接をどう乗り越えているのか知りたい」
という方に向けて、
- 私が就活時代に、教員にならない理由についてどう回答していたか
- そもそも私が教員にならないと決めた理由はどのようなものか
について、自分も同じように不安になったり挫折した経験を踏まえ、実体験ベースでお伝えします。

まるで1個上の先輩とサシ飲みに行ったかのように、「有益な情報が得られた」「心が少し軽くなった」「また明日から頑張ろう」、そんな気持ちになっていただけたら嬉しいです。
1. 私の教員免許に関する前提

「教師になることを辞めた」と一口に言っても、「教職は取り切ったのか」「今の仕事内容はどのようなものなのか」によって語られる内容が変わってくると考えています。
そこで以下では、私の教員免許に関する前提についてお伝えいたします。
私の簡単な経歴をご紹介すると、以下の通りとなります。
- 教育学部出身
- 中学校教諭一種免許状(社会)・高等学校教諭一種免許状(地理歴史)・高等学校教諭一種免許状(公民)取得
- 民間企業(都内教育ベンチャー企業)に就職
大学時代は教育学部に在籍しており、最後まで教職を取り切りました。
しかしそのあと教師になることはなく、教育系の民間企業に就職をしました。
なお今も、教師になりたいとは全く思っていない状況です。
2. そもそも、なぜ教師になりたいと思っていたのか

こんな私にも「将来は学校の先生になりたい」と思っていた時期があるわけです。
そこで、なぜ私がそもそも教師を目指すようになったのか、その理由をご紹介したいと思います。
①人間関係に傷つくような生徒を支えたいと思ったから
私は中学時代、部活で女子バレーボール部に所属していました。
女子バレーボール部ですから、案の定、人間関係でのトラブルは勃発しまくりでした。
部活では「悪口を言ったり言われたり」「仲間外れにしたりされたり」の経験を多くしました。
傷つくことも当然多く、ある時一度だけ、先生に本気で相談をしに行ったことがありました。
その時の先生の対応が、当時の私にとっては満足行くものではなく、
- もっとこういうふうに話を聞いて欲しかったんだけどな
- 私だったら、こうアプローチして生徒のことを支えるのに
とモヤモヤを抱える結果になってしまいました。
中高生時代の思春期は、その人の人生の価値観を形成するのに非常に重要な時期になると思っています。
そんな時期に、私のように人間関係で苦労したり傷ついてしまう生徒を1人でも減らしたい、教師になって子どもたちを支えてあげたいと思ったのが、一番最初に教師になりたいと思ったきっかけになります。
②生徒から「ありがとう」と感謝されることに、やりがいを感じられそうだと思ったから
もう一つ、私が教師になりたいと思うようになったきっかけが、高校1年生の時の「離任式」での出来事です。
「離任式」とは、教員が異動する際に行われる式典のことです。
高校1年生の離任式の際、たまたま偶然、
離任式が終わった後にある先生のもとに元教え子の生徒たちが十何人も駆け寄って、泣きながら「本当にありがとうございました」と感謝を伝えている、まるでドラマのワンシーンのような現場を目撃したことがありました。
その時率直に、
- 「あんなに人から泣きながら感謝される仕事って、すごいやりがいがあるだろうな」
- 「いいな、私もあんなふうに誰かから全力で感謝されてみたい」
と心打たれ、「私も教師になってみたいかも」とさらに思うようになった次第です。
3. なぜ教師になることを辞めようと思ったのか

前述のように「教師になりたい」と思っていた私ですが、大学時代に正式に「教師になるのは辞めよう」と決意をしました。
ここでは、なぜ教師になるのを辞めようと思うに至ったのか、その理由をご説明いたします。
①自分の性格に合わないと思った
一番の理由がこの「自分の性格に合わないと思った」というものです。
私は中高生時代から比較的静かな性格の人間で、決して
- 生徒の前に立って大きな声を出して、ホームルームを仕切ったり授業を進めていく
- 生徒にウケそうな面白いことをいったり、クラスの指揮を上げて引っ張っていく
- 積極的に自分から周りの人に話しかけにいく
- 1対1での会話を長く行う
というのができるキャラではありませんでした。
かといって、独特な世界を持った「一匹狼キャラ」に全振りする勇気があるわけでもありません。
肝心の「教師になりたい」と思った理由である
- 「①人間関係に傷つくような生徒を支え」られる
- 「②生徒から「ありがとう」と感謝される」
ことができるような教師に、自分がなれる気がしなかった、というのが一番の理由になります。
「私は教師には向いていないんじゃないか」と思い始めたのは実は結構早く、高校2年生の秋頃からでした。
高校2年生の際、クラスの雰囲気にあまり馴染むことができず、学校生活にあまり楽しさを感じられなくなっていた時期があり、その際に思い始めるようになりました。
しかし、前述の「教師になりたいと思う理由」がまだ自分の中で微かに残っていたのと
その頃からすでに大学受験の勉強に追われており、精神的にも物理的にも、進路のことについて本気で考える時間を持つことができなかったのと、
学部選びで教育学部を選んでしまっており、その大学・学部に受かるための特化した対策をすでに始めてしまっていたため、
そこから進路変更をすることができず、結局教育学部に入学することになりました。
②教師以外にも仕事があることを知った
大学に入学してからも「自分は教員には向いていない気がするな」となんとなく思い続ける日々が続いていました。
しかし受けている授業の内容はほぼ全て教育に関するものであるため、しっかりと「教員脳」にはなっていっていました。
そんな私も、大学3年生の春になり就活を始めてから「教師になるのは辞めよう」と正式に決意をするようになりました。
そもそも私が教師になりたいと思っていたのは、以下2点の理由も大きいと思っています。
- そもそも、教師以外の仕事の存在を知らなかった
- 中高生時代、ニュースなどで「圧迫面接」「就活で病んでしまう若者」「ブラック企業」「パワハラ」「過労死」など、就活・民間企業の負の側面ばかりが報道されているのを見ており、
就活・民間企業に対して「怖いもの」「自分にはできない」という意識を持ってしまっていた
しかし考えてみれば
- 人間関係に傷つくような人を支えたい
- 人から「ありがとう」と感謝されるようなやりがいのある仕事をしたい
というのは教師にならなくても、どんな仕事についたとしてもできることです。
また企業についても、全ての企業がブラック企業というわけではなく、ちゃんとうまく探せば自分にとって働きやすい・働きがいのある企業を探すことだってできます。
私は大学3年生の時に、サークルの友人に誘われて就活支援団体の面談を受けたのですが、そこで上記のことに気付かされて、
「なんだ。じゃあ教師になることにこだわらずに、一旦0からやりたい仕事について考えてみよう」と思うようになりました。
③自分は「生徒」であることが好きだっただけで、「教師」になりたかったわけではなかったと気づいた
「教師になりたい」と思うことがあったくらいなため、私は「学校」という場所が嫌いだったわけではありませんでした。
- 学校で授業を受け、休み時間には友達とおしゃべりをする
- 文化祭や体育祭などの学校行事に盛り上がる
といった日常を比較的楽しんでいるタイプでした。
しかし教育実習にいったことで、「自分は『生徒』として学校に通うことが好きだっただけで、それは『教師』として教壇に立ちたいという思いとは別物だったんだ」ということに気づきました。
そもそも私は、
- 「誰かに何かを教えたい・伝えたい」という思いが、日頃からあまりない
- 教科指導・教材研究などにも、あまり興味を持つことができない
という性格の人間でした。
今思えば大学時代も、教育系のアルバイト(塾講師・家庭教師など)やボランティアをしていたことは一切ありませんでした。
教師というのは、何かを「教える」仕事です。
そこに自分の情熱や得意が向いていないのは、かなり致命的だろうと思うようになりました。
これが私が「教師になるのは辞めよう」と思った、決定打になります。
④他の人と給料が一律になることにもったいなさを感じた
どこの大学を出ていようと、4年制大学を卒業し「一種」の免許状を取得していれば、基本的に教員の給料はみんな一律で一緒になります。
誤解を恐れずに言えば、頑張って大学受験の勉強をし難関大学に入った人でも、名前を書けば受かる大学を卒業した人でも、給料が一緒になるわけです。
私はそこにどうしても「もったいなさ」を感じてしまいました。
もちろん民間企業に就職したとしても、決して大学名だけで入社後の給料が決まり続けるわけではないですが、それでも教師に比べると民間企業は、これまでの自分の努力が比較的給料に反映されやすい世界であると考えています。
※番外編:世間の「教師にならない理由」ランキング上位にあるもので、私があまり気にしていなかったこと
ここからは番外編として、世間で「教師にならない理由」ランキング上位にある要素で、私があまり気にしていなかったことについてご紹介いたします。
教員になりたくない理由として一番多く挙げられるのが「長時間労働」ではないでしょうか。
実際教師の残業時間は、月換算で「96時間20分」と報告されているデータもあります。
【参考】
・実質的な残業時間が平均で過労死ラインを超過/日教組調査 (2023年12月13日 調査部)|労働政策研究・研修機構(JILPT)
しかし私は、この「激務」「長時間労働」については大学生の時はそこまで気にしていませんでした。理由は以下の通りです。
- 「過酷な長時間労働」にも勝る「やりがい」や「充実感」がある仕事なのだろうと考えていた。実際私はその「やりがい」に魅力を感じていた部分があった。
- 民間企業でも残業代の出ないブラック企業はあるし、むしろ「売りたくないものを売らされる」など「やりがい0」でその状態になることもある。
それに比べると教師はやりがいを感じられるからいいのかもしれない。 - 大学生の時点ではまだ「自分の家庭」を持っていなかったため、仕事とプライベートの両立、ワークライフバランスなどをあまり意識していなかった
ちなみに社会人になって「自分の家庭」を持った今となっては、「ワークライフバランス」をかなり重要視するようになったため、教師になって「過酷な長時間労働を行う」という選択肢は流石にないな、と私も思うようになっています。
教育実習は通常、大学4年生の5月〜6月頃に行われることが多いです。
この「大学4年生の5月〜6月」の時期は、大手企業等で最終面接が設定される時期と被っていることが多くなっています。
そのため、就職活動との兼ね合いが難しくなることを理由に、教職を諦めるという大学生が一定数います。
しかし就職活動との兼ね合いについては、私は以下の理由であまり気にしていませんでした。
- 大学3年生のうちに早期内定を出してくれる会社に就職できればそれで良いと思っていた。
「絶対に大手企業に就職したい」といった強い気持ちがなかった。
実際、大学3年生の1月に今の会社から内定をもらい、即そこに就職を決めたため、教育実習と就職活動の兼ね合いで困ることはありませんでした。
4. なぜ最後まで教職を取り続けたか

厳密には私が在籍していた学科は、教員免許の取得が必須な学科ではなかったため、「教職を途中で切る」という選択肢もありました。
しかしそれでも結局私は最後まで教職を取り切りました。以下ではその理由についてご説明いたします。
母校に教育実習に行きたかった
私は、高校時代の母校で教育実習を行いました。
私は高校時代の母校のことがとても気に入っており、高校を卒業した際には「絶対に教育実習でもう一度この学校に戻ってくるんだ」と意気込んでいました。
「もう一度母校の学校に足を運びたい」という気持ちの一心で、最後まで教職を取り続けていました。
ちなみに、この高校時代の母校で教育実習を行った結果、前述の通り「自分は『生徒』であることが好きだっただけで『教師』になりたかったわけでなかったんだな」という気づきを得た次第です。
ここまで来たんだから最後まで取り切りたい、という意地
私は「何かを途中で辞める」ということが苦手な性格です。
大学3年生になって「教師になるのは辞めよう」と決意した際も、
「しかしすでに大学1・2年生の2年間で教職に関する多くの単位をとっており、介護等体験も終えている。後少し単位をとって教育実習に行きさえすれば教員免許が取れるんだから、せっかくだし最後まで取り切りたい」
と思っており、結果ほぼ「意地」だけで教職を取り切る結果になりました。
5. 就活の面接では「教師にならない理由」についてどう伝えたか

「教育学部在籍」「教員免許取得予定」といったことを履歴書に書いていると大抵、
「なぜ教員にはならないんですか」
「数年後に会社員を辞めて教員になる予定はあるんですか」
といった質問を受けることになります。
以下では、その際に私が実際にどのように回答していたかについてご紹介いたします。
就活で実際に伝えた内容
実際に私が就活で「なぜ教員にはならないんですか」「数年後に会社員を辞めて教員になる予定はあるんですか」と聞かれた際に答えていた内容が、以下の通りです。
- 【なぜ教員にならないのか】
- ①自分は性格上、生徒の前に立って教鞭を振るうのではなく、その裏側で子どもたちの教育環境を良くするための「仕組み化」をすることの方が向いている。
- ②教師として教壇に立つと、対応できる生徒の数が限られてしまう。そうではなく、より広く、日本の多くの子どもたちの教育環境を良くすることをしていきたいと考えている。
- 【数年後に会社員を辞めて教員になる予定はあるのか】
- 前述の通り、「自分の性格上教師には向いていない」「より多くの子どもたちにアプローチしたい」という考えが強いため、将来教員になるつもりは全くない
- 教職は、あくまで教育の実際の現場を知るために最後までとっただけ
前述した「教師になることを辞めようと思った」理由のうち、以下の
- 「②自分は『生徒』であることが好きだっただけで、『教師』になりたかったわけではなかったと気づいた」
- 「③教師以外にも仕事があることを知った」
- 「④他の人と給料が一律になることにもったいなさを感じた」
については、どううまく言語化しても面接官にとってマイナス印象になると考えたため一切伝えないようにし、以下の
- 「①自分の性格に合わないと思った」
という部分のみうまく言語化し直し、面接官の方に伝えるようにしていました。
また教職を最後まで取り切った理由も、本音の部分を正直に伝えるのではなく「教職の知識をビジネスに活かすため」といった形に変えて伝えるようにしていました。
面接官にすんなり受け入れてもらえた理由の仮説
私の場合、前述の理由を面接で話すと、ほぼ全ての面接官の方に納得して受け入れてもらうことができていたように思います。
なぜ上記の理由で受け入れてもらうことができたのか、仮説は以下の通りです。
- 教師になることは辞めたものの、私の興味関心が「教育・人材系」にあることに変わりなく、実際就活で受けていた企業はことごとく「教育・人材系」の会社だった。
そのため、私とほぼ同じような理由で、教師ではなく民間企業に就職した先駆者の方々も大勢いて、納得してもらいやすかった。 - 面接ではあえて自分から「そもそも教員になりたいと思っていた理由」「教師を辞めてあえて企業に就職することを決めた理由」を説明するようにし、ストーリーの一貫性を強調した。
- 教員になるのを辞めた理由に「激務・長時間労働」という要素がなかったため、面接官からの印象を下手に下げることがなかった可能性
- 私の静かでおとなしめな話し方を見て、面接官の方が「確かに教師ってキャラではないな」と察してくれた可能性
上記の通り、就活で受けていた業界がそもそも「教育・人材系」であったこと、
および私の話している内容・実際の私の「キャラ」の一貫性に、面接官の方が納得をしてくださったのではないかと考えています。
6. 最後に
私が面接で「教師にならないの?」と聞かれた際に答えていた内容をまとめると
- ①自分は性格上、生徒の前に立って教鞭を振るうのではなく、その裏側で子どもたちの教育環境を良くするための「仕組み化」をすることの方が向いている。
- ②教師として教壇に立つと、対応できる生徒の数が限られてしまう。そうではなく、より広く、日本の多くの子どもたちの教育環境を良くすることをしていきたいと考えている。
となります。

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