この記事では、
- 「就活に備えて長期インターンをしようか迷っている」
- 「けど長期インターンっていろいろ大変そうだし、自分にできるかどうか不安。するべきかどうかいろんな意見を知りたい」
という方に向けて、
- 長期インターンに参加することで得られるメリット
- 長期インターンのデメリット。長期インターンを始めるにあたって必要な心構え
について、実体験ベースでお伝えします。

まるで1個上の先輩とサシ飲みに行ったかのように、「有益な情報が得られた」「心が少し軽くなった」「また明日から頑張ろう」、そんな気持ちになっていただけたら嬉しいです。
1. 前提:私の会社の特徴、私の長期インターン生マネジメント経験

私は「長期インターンをしていた大学生」側ではなく、「長期インターン生をマネジメントしていた担当社員」側の人間になります。
以下、私の勤めている会社、および私の長期インターン生のマネジメント経験の前提についてお伝えします。
(※私の勤めている会社、および私の長期インターン生のマネジメント経験の前提については、以下記事で別で詳しく記載しているため、ぜひ併せてご覧ください。)
私がマネジメントしていた長期インターン生の状況は、以下の通りです。
- 【長期インターン生に任せていた仕事】
・SEOライティング、SEO戦略・戦術の作成
・Webサイトの数値分析
・後輩のマネジメント - 【勤務条件】
・月50時間以上働くことが必須
・卒業まで働くことが必須
・フルリモート - 【私がマネジメントしていた長期インターン生の在籍大学】
・東大生・京大生・慶應生・東工大生・その他複数大学
以上の前提をもとに、以降では私のマネジメントの実体験をもとに「大学生が長期インターンを行うメリット・デメリット」について、解説していきたいと思います。
2. 長期インターンのメリット

まず、大学生が長期インターンを行うことのメリットをご紹介します。
やはりビジネスの現場に実際に立ち、社員から厳しいフィードバックを常に受け続けていると、「面構えが変わる」学生が多く、その点は大きなメリットだと感じています。
①ビジネスの基礎スキルがつく
真面目に長期インターンの業務を行っていれば
- 相手にわかりやすいように話す力。社会人として適切な言葉遣い。ミーティングでの報告・発言の仕方
- 時間管理能力
- ロジカルシンキング(ロジックツリー・MECEの使いこなし等)
といった基本的なビジネススキルは、まず自然と身につけられるはずです。
②その職種に対するある程度の基礎スキルがつく
また、長期インターンで携わった職種について、例えば以下の通り基本的なスキルを身につけ、全体像を把握することができるようになるでしょう。
- 【例:SEO対策】
・SEO・Webライティング・セールスライティングについての一通りの知識
・サイトの数値分析をするスキル
・SEO戦略・戦術を作成するスキル - 【例:営業】
・顧客との関係構築力
・課題を設定してそこに提案をするスキル
また長期インターンというのは基本的に、「一社会人」として成果を出すことが求められます。
大学の授業のように「及第点ギリギリを狙って効率よく最低限でこなす」という姿勢は通用しません。
成果を出すために、常に頭をフル稼働させ、インプット・アウトプット量を最大化させることが求められ、
且つ「これは考えに考え抜いて作った資料だ。自分的にこれは最高の出来だ」と思って提出した資料などに対して、社員からはさらにその上をいく厳しいフィードバックが毎回なされることになります。
そのため、ただ授業や書籍などで理論を学んでいるだけよりも、ちゃんとその職種について向き合うことができるでしょうし、成長をすることもできると言えます。
③働くことに対する解像度が上がる
長期インターンに参加することで
- 実際にビジネスの現場に立つことで、キラキラした側面だけではない、泥臭い側面についても知ることができる
- 実際に「週5日・1日8時間」働き(なんなら残業・土日出勤もして)、たくさんのタスクを抱えながらドタバタに動いている社員の様子を生で見ることができる
といった経験をすることができます。
成果というのは一筋縄で出せるものではなく、日々の地道な努力を積むことによってようやく生み出されるものです。
例えば営業であれば、「営業は断られてからがスタート」とよく言います。
たとえ1回断られても、
- なぜ断るのか理由をヒアリングする
- 「今忙しくて、バタバタしていて」などが理由であれば、「どのような業務をどれくらいの人数でやっているから忙しくなっているのか」についてさらに深くヒアリングする
- 「その忙しさをなくすために」という切り口の提案に切り替え、再度提案を持っていく
などを繰り返し、「買わない理由」をとことん無くしていくことを行っていきます。
こういった、仕事における「泥臭い側面」を知ることで、
「働くことの大変さ」「それでも自分がやりたいと思える仕事ってどんな仕事なんだろうか」ということについて、より解像度高くイメージすることができるようになると言えます。
④キャリアの方向性を早い段階から考えることができる
実際私の担当していた長期インターン生の中には
- 当初は弁護士になろうと思っていたが、長期インターンで様々な仕事に携わることで「弁護士ではなく、クリエイティブな仕事をする方が自分に向いているかも」と進路を検討し直した学生
- 事業会社で長期インターン生として働くことで、「事業会社で働くのは、自分の働きたい方向性とは違うかも」と思うようになり、税理士事務所に就職をすることにした学生
- 長期インターンを通して、「自分は『数値分析』よりも『独創的なプロモーションを考える』ことの方がワクワクする」ということに気づき、再度就活をし直すことにした学生
など、長期インターンを通して業種・職種への解像度が高まった結果、自分のキャリアの方向性が見直された、という学生が一定数いました。
通常であれば、上記のような「自分のキャリアの方向性に関する気づき」というのは、新卒で入った1社目の会社で様々な業務を経験して、数年経った頃にようやく「こっちの方向性の方が自分には向いているかも」と気づくというのが普通だと思います。
それが、長期インターンで早いうちから自分のキャリア・適正について考える機会を持つことで、そのイベントを前倒しすることができるようになります。
20代のうちの新卒の数年間は、その後の社会人人生での価値観を形成するにあたって、重要な期間になると言えます。
「最初の1社目」についてより適正な会社を選ぶことができると、20代のうちの貴重な数年間をより有意義に過ごすことができるようになると言えます。
⑤就活に有利になる
前述の
- ①ビジネスの基礎スキルがつく
- ②その職種に対するある程度の基礎スキルがつく
- ③働くことに対する解像度が上がる
- ④キャリアの方向性を早い段階から考えることができる
のメリットの結果、
- 他の学生と比べて面構えが変わってくる。ES・面接での受け答えの内容に説得力が増す。
- 社会人に刺さるようなES・面接での受け答えがどんなものなのか、ある程度想像できるようになる
- 自分の考えを瞬時に適切に言語化し、わかりやすく面接官に伝えることができるようになる
といったことができるようになり、就活を有利に進めることができるようになると言えます。
実際私の会社で長期インターンをしていた大学生も、ことごとく日系大手・外資系コンサルなどの名だたる企業に就職していきました。
⑥価値観の合う学生・社会人と繋がりができる
例えば私の会社だと実際に
- 長期インターン生同士で結婚をした人
- 過去の長期インターン生内のコミュニティを通じて転職をした人
- 長期インターンを卒業した後、その優秀さから、再度社員に引き抜かれて戻ってきた人
など、長期インターンで出会った同期・先輩・社員のコミュニティを通じて仕事、さらにはプライベートを充実させている人が一定数いました。
最近は「長期インターン」という言葉も少しずつ世に知れ渡ってきていますが、それでも実際に長期インターンをしている学生は全体の数%と、まだまだ少数派です。
「長期インターンでビジネススキルを得たい」という意欲の高い、価値観の合う学生同士でコミュニティを形成することができる、というのは長期インターンの副次的なメリットとして実際にあると考えています。
3. 長期インターンのデメリット

続いて長期インターンのデメリットをご紹介します。
基本的に「楽しておいしい成果が手に入る」ことはないですし、努力して成果を出したとしても、それで驕り高ぶってしまうと後々痛い目に合うため注意してください。
①多くの時間を長期インターンに割く必要がある
基本的にビジネススキルというのは一朝一夕で身につくものではないため、スキルを身につけ成果を出すためには多くの時間を長期インターンに割く必要があります。
具体例として、例えば私の勤めている会社だと、長期インターンで成果を出していた学生は、1ヶ月の勤務時間が70〜80時間以上、多い人だと100時間を超えている、ということが多かったです。
「長期インターン」も「アルバイト」も「部活・サークル」も「学業」も「就活」も「ビジネスコンテスト」も「ボランティア」も「留学」も、、、「全て頑張りたいです!」というのは、基本的に非現実的で、まず通用しません。
長期インターンをするのであれば、他の活動の何か一つは諦めることになるというのが現実的なところで、これを受け入れられない学生は、かなり苦しんでいることが多かったです。
②業務の難易度の高さ・責任感・プレッシャーの大きさに「きつさ」を感じる
基本的に長期インターンは「きつい」ものです。
(※長期インターンが「きつい」ものである理由は、以下記事で別にまとめているため、ぜひ併せてご覧ください)
長期インターン生に求められるレベルとしては、以下のようなものをイメージしておくと良いかと思います。
- 「大学生」としてではなく「一社会人」として扱われ、「一社会人」としてのスキル・ビジネスマナーを求められる。
- イメージとしては、数歳年上の社会人、例えば新卒2〜3年目レベルと同等レベルで成果を出すことが求められる
- アルバイトのように、ただ所定の時間分働いていればいいというわけではない。
「◯時間働きました」だけでは「だから何?契約通りの時間働くのは大前提だけど。」「その時間・時給を使ってどういう成果を出したのかを述べて」と言われてしまう。
長期インターンでは、普通に大学生として生きていれば求められることがないような、難易度の高いレベルを常に求められます。
きつい環境であることは間違いなく、ゆえに「長期インターンを通して、○○といったビジネススキルを得て、自分の人生に○○のように活かしたい」など確固たる目的・意志がある人でないとメンタルを保つのが難しいことも多いです。
③得られるスキルはあくまで「基礎」レベルであることを肝に銘じておく必要
前述の「メリット」にて、「②その職種に対するある程度の基礎スキルがつく」ことを述べました。
が、あくまで身につくスキルは「基礎レベル」であることを肝に銘じておいてください。
厳しいようですが、長期インターン生が「月数十時間×数年」働いて得られるスキル・経験というのは、長い社会人人生からすると正直「たかが知れて」います。
確かに有名大学に在籍している学生だとキャッチアップ力が高く、数年という短期間でも、その職種の全体像を把握し、ある一定レベルまで、うまくいくと「一人前」のスキルまで持っていくことはできます。
が「週5日・1日8時間」をその仕事にフルベットし、スキルを「極めて」いる社会人と比べると、まだまだ未熟であることがほとんどです。
「長期インターンごときでその職種の専門性を完全に身につけられるということは、基本的にない」と謙虚に構えておくくらいがちょうどよいでしょう。
後述しますが「自分は長期インターンによってこの職種をマスターした」と驕り高ぶっていると、後々痛い目にあう可能性があるため、注意してください。
また厳しいようですが逆に言うと、「うちの会社で長期インターンをすれば、○○というスキルについて『専門性』を身につけることができます、『マスター』できます」といった謳い文句で採用をしている会社は
「その程度のレベルで『専門性が身に付いた』と判断してしまうような、もしくは過激な表現を平気で使用してしまうような、もしくは言葉の定義を正確に行わないような、程度の低い・誠実さのない会社である」と見ることができるとも言えます。
④「キャリアの方向性が明確になる」ことは期待しない方が良い
確かに長期インターンをすることで、「自分はどういう仕事が好きなのか、どういう仕事が得意・不得意なのか」をある程度把握することはできるでしょう。
しかし、若いうちのそういった得意不得意・選り好みは、長い社会人人生から見ると大して参考にならないことも多いと、個人的には思っています。
「苦手だと思っていた」「食わず嫌いしていた」業務も、いざ腰を据え覚悟を決めて時間をかけて取り組んでみたら、意外とハマってむしろ得意分野になった、というケースはいくらでもあります。
長期インターンで少し業務を経験したくらいで「この仕事は自分に向いていない」と判断してしまうのは、むしろもったいないことだとも言えます。
また長期インターンを通じて、「この仕事楽しいかも」と思い社会人になってもその道に進んでみたけれども、
いざ「週5日・1日8時間」かけてそのスキルを極めようとしてみたら、そこまでのやりがいを感じることができず、結局転職してしまった、というケースも多くあります。
「長期インターンの経験はあくまで『参考になる』程度にしかならない」「長期インターンの経験だけで人生のすべてが見通せるようになるわけではない」と思っておくくらいがちょうどよいと言えるでしょう。
⑤就活には有利になるが、入社後に有利になるとは限らない
前述の通り、長期インターンをしていると就活に有利になるケースが多いと言えます。
また入社後のスタートダッシュも、一時的にはうまく切れることが多いでしょう。
が「入社して数ヶ月経った後」については、「他の同期とトントン。むしろ長期インターンをしていなかった人の方が伸びている」というケースが多いように感じています。
理由は、
- 他の新卒社員とさほどスキルに差があるわけでもないのに
「自分は長期インターンをしていたから『わかっている』」「自分は『できる人間』なんだ」というように、
いつまでも変なプライドを持ち続けていたり、斜に構えていたり、変に上から目線な新卒社員なんて、
上司側からすると、シンプルに扱いづらい。社内でも普通に省られて終わるだけ。
というところだと考えています。
再度になりますが、いくら長期インターンを数年間やっていたと言えども、そこでつけられる「差」というものは、長いビジネスパーソン人生から見ると、たかが知れています。
それをわかっておらず、いつまでも「長期インターンをやっていた」という事実にあぐらをかき、変に斜に構えている学生よりも
「自分何もわかっていないので、たくさん教えてください!」と、スポンジのように「素直に」「愚直に」知識・技能を吸収していく他の新卒社員の方が、上司にも可愛がられるし、ぐんぐん伸びて成長していく、というのはよく見る光景です。
「いやいや自分は長期インターンをしたからって、そんな天狗になることなんてない」と思う学生の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし前述の通り、長期インターンをしていることで、就活に有利になったり、入社後のスタートダッシュも一時的にはうまく切れるケースが多くなることは確かで、
「他の学生よりも自分の方ができている」という期間が、事実として一定期間続くことになります。
そうすると、本当に驚くくらい、無自覚にも「自分は『優秀』な人間なんだ」と錯覚し天狗になるケースが、本当に本当に多くなります。
しかし再度になりますが、長期インターンを数年やっていた程度でつけられる「差」というのは、本当にたかが知れています。一瞬で他の同期に追いつかれ追い越されるのです。
実際私の会社で「長期インターンからの新卒採用」を行っていなかった理由は、上記のケースが非常に多いからです。
4. 最後に
長期インターンのメリット・デメリットをまとめると
となります。

新しい物事にチャレンジするのは、誰だって勇気がいることです。
自分の実体験が、少しでも皆さんの心を軽くしたり、背中をそっと押すものになることができたら嬉しいです。
このサイトでは、後輩を応援したいという気持ちで、これからもさまざまな記事を執筆していきますので、ぜひご覧ください。

またこのブログでは、他にもキャリア・長期インターンについて記事を執筆していますので、ぜひ併せてご覧ください。